2010年3月11日木曜日

Chasm Bridge 48: 世界展開においてモバイル・ソーシャルゲームが直面するチャンスと障壁とは? #wondershake

本日も位置情報関連サービスについて大きな学びがありました。
昨晩百式さんが紹介して下さったStickybitsに代表されるバーコードからテキスト・写真・動画のタギング等、こういった流れ等を位置情報と連動させる斬新なアイデアが多く生まれてくる、脳内スパークな3月10日です。

さて、本日はソーシャルゲームに関する面白い議論を紹介したいと想います。

記事原文:Taking games global: Cultural differences can make or break you
ソースは事業立ち上げ等を考えている方必見のサイト、Games Beatです。

当記事は本日開催された注目のイベント、Games Beat 2010にて話題になった議論をピックアップ。
DeNAの南場さんも記事に登場します。



一体ソーシャルゲームは国・文化が変わっても同様にユーザーに好かれることが可能なのでしょうか?
この記事を下に、それを考えていきたいと想います。

どうぞお楽しみ下さい。

**和訳 開始**

もしかしたらあなたは、一国で成功したゲームが世界のどの国に行っても同様に成功すると考えているかもしれない。しかし。現実問題としては、ゲームの要素(支払い方法、グラフィックデザイン等)に対する認識はその国の基礎となる文化の影響を良くも悪くも受け、それらの捉え方を大幅に変えてしまう

本日開催されたGamesBeat@GDCにて、インターナショナルなゲームデベロッパーやアナリストがパネリストとして集結した。初期段階では、彼らの中の多くの者が『ゲームの世界』においてはバックグラウンドが異なっていても共通の価値があると主張。確かに、現在世界中の多くの人間がソーシャルゲーム・バーチャル経済・ウェブインターフェイスに引きつけられている。また日本にて急成長中のモバイル事業を行うDeNA CEOである南場氏も『日本においても、米国においても、小さな努力は結果を生んだ』と述べる。

しかし議論が進むごとに、ソーシャルゲーム企業がより多くのユーザーを世界規模で集めるには、より文化間でのニーズの違いを認識する必要性があることが明白になった。

文化からは生まれるゲームテイストの差を代表する次の例を見て欲しい。Magma Stadioでマネージングディレクターを務めるAroon Tan氏によると、『アジアで創られるゲームに登場するヒーローキャラクターの多くが中立的、もしくは女性的に描かれているのに対して、欧米のゲームでは屈強な、男性的な個性がキャラクターに付与されている』そうだ。同氏はこういったシンプルな差だけでも、ゲームが海外に出た際に大失敗する要因になると指摘する。



そして同氏はこう続けた。
『文化における当たり前は意外と通じない。文化の異なる国において、ユーザーに普遍的な印象を与えるデザインやグラフィックスを発見することは想像以上に難しいのです』

しかし、ゲームの肌触りや感覚だけが他国の『潜在的顧客』を遠ざけるわけではない。販売システムも大きな差を生む要因である。ドイツ企業のGameforge CEOであるKlaas Kersting氏が述べるように、『新しいマーケットに入る際には、素早くスケール出来ないと成功するチャンスは非常に小さい』のだ。スケールを出すためには、新しいゲームに対するユーザーの反応を本質的に理解する必要性がある。1日のいつ何時頃、何時間ゲームをプレーするのか、そして友人にどういった形でそのゲームを共有するか?等々である。そしてこういったユーザーの根底的なインフラとなる価値観は国々よって異なり、Kersting氏によると、『この状況を解決するためには、現地でローカルパートナーを持つことは計り知れない程重要』になってくる。

またTan氏はKersting氏のコメントに共鳴し、『市場にどういったローカルパートナーを持っているかは成功するための不可欠な要素。ただ良い商品を作ればいいわけでは決してない。もしエントリーする際の文化的な障壁が大きすぎれば、ユーザーからの好印象を貰うことは出来ない』

またパネリストの多くがElectronic Arts社(EA)が中国においてポジションを抑えるために示した努力を例に引きだした。世界でも最大級のゲーム会社であるEAは何年経った今でも日本や中国における何百万という顧客を魅了することが出来ていないのだ。

『私は多くの文化横断的な挑戦を見てきました。何兆円という近くの売上を誇る大企業もチャレンジしています』とNexon America社にてビジネス開発副社長を務めるWon Il Sue氏は語る。
『しかし問題は資金ではないのです。資金だけでは文化の壁を越えられません。またそれはバイリンガルなゲームであることでも解決しません。ソリューションは真に文化横断的かどうか?という点にあります。そしてそのプロセスは皆が考える以上に時間がかかるものになるでしょう』そう彼女は状況を説明した。



またモバイルゲームにおいて、現時点で改善が特に必要なエリアは支払い方法だ。米国においてユーザーは、月1回・年1回ペースで料金を支払い、その後は使い放題形式を取る『会員登録モデル』に慣れている。一方でアジアやヨーロッパにおいては、『プリペイドモデル』が親しまれ、ユーザーは特定の時間分だけ使用権を購入し、その分だけを楽しみというやり方を取っている。

Tan氏曰く、『プリペイド式を選ぶ顧客と会員登録制を選ぶ顧客では、行動に顕著な差がある』そうだ。
『前払いを選んだユーザーはより頻繁に残高を確認する傾向があるし、会員登録者より月々の使用料は少なくなる』

故に会員登録制を取るモバイルゲームが文化の壁を超えるためには、彼らモバイルを使用する際に既に備えている如何なる『癖』にも対応できる支払い方法を用意しなくてはならない。Kersting氏はこの点を強調し、『Gameforgeは支払い方法を提示する際に、文化的な差だけではなく、地理的・年齢・性別等々、他の壁も超えることを考えている』と述べた。

またパネリスト全員が次の点に関しては同調した。
もし企業が海外にスケールを出したい場合には、現場の文化や嗜好を理解するメンバーをチームに参加させ、潜在的に対面するチャレンジやチャンスを他メンバーに教えられる体勢を整える必要性があると主張。

『最も大事な点はそのゲームをプレーする可能性の高いユーザーを理解できる人材と出会うことです』とTan氏は述べ、こう続けた。
ローカルなタレントは人的なリスク、また投資家のリスクも低下させることに繋がる

**和訳 終了**

商品開発においては当然のことかもしれませんが、確かにゲームに関しては無意識に文化を超える・・という感覚が自分の中でも自然とありました。
特にFacebook上でのソーシャルゲーム(Farmville等)は肌感覚では国を超えてヒットする傾向があるように思っていました。
しかし実際はやはり難しいよう。今後一層、ローカルの力、現場のリアルを知ることが不可欠になってくるようです。

また記事に登場しているDeNA社。国内の市場だけでなく米国市場等を狙うDeNA社に代表されるモバイルゲーム会社達も、長期的には文化の壁を超える手段を積極的に取らざるを得ないのでしょう。
参考記事:
【速報】モバゲーがオープン化戦略を発表。mixi,Facebookとの緊急比較

今後デジタル化・人材の流動化がさらに進む中で、将来的にはクロスカルチュラルな商品が開発されることは『当たり前』になると想います。優秀な商品を創り、マーケティング・ブランディング次第でどうにかなるとシンプルに言えるかもしれませんが、最終的にはその企業がもつスタンス・姿勢が決定的な差を生む気がします
何を創るのか?どういったコンテンツを入れればヒットするのか?等の狙いも重要ですが。
物づくりの原点は、それを使用する人間のために創るという観点ではないでしょうか。
デザインの美学もここにあると思いますし、原点回帰がスケールアウトを狙う際には逆に大切になるのだと想います。

環境が変わる中で、一体誰にその価値を提供したいのか?しているのか?といった点を国別・性別別・地域別に改めてセグメンテーションを行うことは必須になると本日改めて考えることが出来ました。

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