2010年2月19日金曜日

Chasm Bridge 36: エンジニアがGoogleを選択する度に、スタートアップは死んでいく #wondershake

昨晩決めていたトピックだったYahooのAR技術。
記事原文:Yahoo Patent: Geotagging + Social = Augmented Reality
朝起きて改めて読んでみたら、まさにセカイカメラと同テクノロジーの『エアタグ』・・

故に本日はあえて、もう一つ気になっていた『スタートアップと変革』に関する記事を紹介したいと思います。



オリジナル記事:Every time an engineer joins Google, a startup dies
投稿主のChris Dixon氏(@cdixon)は非常に興味深い方です


Dixon氏は、個人投資家としてスタートアップやアーリーベンチャーに関わり、ベンチャーキャピタリストとしてはSkypeの初期投資を手がけています。コロンビア大学での専攻が哲学で、その後ハーバードにMBAというのも興味深いストーリー。



そして現在は、flickrの創業者であるフェイク氏(@Caterina)と共に、集合知による意思決定支援サイトHunchの共同創業者となっています。

Hunch、そしてフェイク氏に関する詳細な記事は以下記事が参考になります:
Microsoft Bingとは違うアプローチ:“質問に質問で答える”意思決定エンジン「Hunch」公開

また、Dixon氏の記事についての見解は、スローガン株式会社社長である@yutaslogan氏のブログが非常に参考になります。
スローガン社には2009年前半に自分が大変お世話になりました。
理想的なスタートアップのキャリアパス

そして今回はDixon氏が米国のスタートアップに関して語った記事をお届けします。
同氏自身が元は『エリート』(今はそれ以上にカッコいい)、かつスタートアップと長年携わってきただけに説得力がある内容です。

では、どうぞお楽しみ下さい。

**和訳 開始**

過去10年におけるベンチャーキャピタル(VC)の投資収益は極めて悪い。その主な理由として、優秀なスタートアップに対する過剰なVC資金投入が挙げられているが。この問題を解決するための方法。それは識者の間では『VC業界のダウンサイジング』という一般認識が形成されている。

例として、VCに対してFred Wilson氏はこう述べる:
アセットクラスから投資家が求めるリターンを獲得するために、2.5兆円を毎年注ぎ込むことはもはや困難だ。もしエクジット分として毎年10兆円が持続的な数字であるならば、そこから逆算して、アセットクラスが実現可能な数字を決定しなくてはいけない。私の観点から言うと、VCのアセットクラスに関する多くの問題に対する解は『Back to the Future』にある。アセットクラスに対してより少ない資金を投じ、ファンドサイズ・パートナーシップ・取引・エクジットも縮小することが得策だ。

同様に、Bill Gurley氏は:
VC業界のサイズを縮小することが、業界全体にとって健全な状態であるし、そうすることで平均値以上のリターンが将来的に導くことが出来る。それを示す理由は山ほどあるだろう。

上記の分析は、全て同じ『前提認識』から始まっている。そう、ベンチャーのエクジット(買収&IPO)の数は今後も変わらず一定だということだ。
私はその仮説を容認することが出来ない。VCに支援されるスタートアップの総合的な価値を図る要因は、全ての価値評価同様、それが生んでいる利益(潜在的な利益を含め)。テクノロジーの世界では、イノベーションによって利益は生みだされる。そして私から言わせてみれば、VCに支援されるスタートアップが世に送り出す『イノベーションの量』がこの瞬間、格段と高まっても何ら可笑しくはないのである

例えば、時間と空間によってイノベーションの質・量は多様性を見せてきた。過去50年間、世界中で最もイノベーティブだった地域はシリコンバレー。
ではもし・・スティーブ・ジョブスがシリコンバレーで育っていなかったらどうなっただろう?もし彼が他の企業で働くことを決定していたらどうなっただろう?
もしスタートアップが育ちやすい環境で、ジョブスが生まれ育たなかったらアップル、そしてそれが生みだすイノベーションや付加価値は生まれていただろうか?ジョブスは確かに素晴らしい才能の持ち主だが、おそらく毎年100人はジョブスと同様のカリスマをもった人間が生まれているはずだ。しかしその大半は、革命的なスタートアップを立ち上げるためのチャンスや思考を獲得することが出来ないのである。

ある人は私達の教育システムを批判するか又は、毎年一定の数しか起業家が生まれないものだと仮説を立てる。しかし、私は問題の根底は『文化』にあると考える。
私達は一般的にアメリカ文化が起業家精神が高いと考えがちだが、現実では才能を持った99%の人間が自ら事業を興そうと考えることがないのである。毎年、大学は非常に賢く、幅広い教育を培った人材を社会に送り出す。そしてそのマジョリティーが新しい価値を特に生まない『行政的なキャリア』である法律、銀行、コンサルティングに流れてしまう。そしてその他は大企業に落ち着いていく。私が前から議論をしてきた様に、ごく一部の例を除いて大企業はスタートアップのように新しい商品(価値)を創ることが到底出来ない。組織が大きくなればなるほど、代理店(第三者)に関する問題、節税対策、近視眼的なプランニング等によってダメージを受ける。

そしてそれ以上に私が思う大事なこと。それは言葉に出来ないほどの躍動感や刺激・・それは所有感覚と自己開拓感覚溢れるスタートアップでしか経験が出来ないのだ。

それ故に、非常に優秀な者がGoldman Sachs, McKinsey, 又はGoogleに入っていくのを見ると、また新たなスタートアップが一社死んでしまったことを悟るのだ。
その結果として、世界は『少し』だけかもしれないが、面白さ・革新性、そして付加価値を失っていく。

**和訳 終了**

VCが直面する本質的な問題は、『スタートアップに本気でチャンレンジする人間』の少なさにあるというDixon氏の見解、非常に勉強になりました。
また同記事に対して繰り広げられる149件のコメントの嵐も必見で、相当参考になります。

さて、自分がCox氏に強く共感する理由を簡単に説明させて頂きます。
それは、自分自身の『タグ』にスタートアップ・創造性が強い位置を占めていることももちろんありますが、それ以上に、才能豊かの者が既存のルール・定義に従っていくのはもったいないと純粋に感じるからです。

もちろん将来的な『成功』をある程度保証された企業でも、例外は多くあると思います。
そして5年・10年後を狙って『あえて』勝負をしないこともあると思います。
また、その道を歩んで自分が心からハッピーなのであれば、誰も文句は言いません



しかし、何処かで・・今の自分が『不燃感』を感じているのであれば。
何故それを今自分がやっているのか、毎朝明解に答えることが出来ないのであれば。

その人の心は、よりエキサイティングな挑戦、情熱を燃やすことの出来る旅を希望しているのだと思います。

『当たり前』に縛られ、気づけば、無関心・無感動になっている自分にすら気づけないなんて寂しい。
年を取るにつれ、自分が起こすアクションによって影響をうける人が増える。その過程で『責任』が増すように感じますが、責任は言い訳・ネガティブな意味で使われてはもったいないと感じます。

結局今を変えられるのは、小さなステップを踏めるかは『自分次第』。
明日をより輝かせるのは、今の自分が下す意志決定。そしてその基となる想い。

挑戦をする上での同志は世界中にいます。
時空を超えて、信じられない程すごい人間はたくさんいます。
ソーシャルメディアを通して、私達の『常識』を破壊し、自分が本気で歩みたい道を創ることは『この瞬間』可能

後はやり方次第。

そう初心に戻れた記事でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿