ご存知、シリコンバレーは太陽がまぶしい米国カリフォルニア州に位置します。日々イノベーションが生まれるこの地には、年齢制限なく、好奇心旺盛な人間が挑戦をしに訪れるのです。
しかし、そこで成功を収める商品/サービスはほんの一握り。参入障壁が低く、創業資金も少なくて済むウェブ業界にはプレイヤー数が多くなり、その99%が目的を実現する前に市場から立ち去っていくのが現状です。
そういった厳しい、かつエキサイティングな環境下で、ユーザーの心を結果として掴んだTwitterやUSTREAM等の代表的なサービスを目指し、多くの人間がその成功を導いた『方程式』を探っているわけですが・・
そんな起業家達の背中を押すかのように、『Best Products Don’t Always Win(最も優れた商品が勝利するとは限らない)』というフレーズが使われることがあります。果たしてこれはどういう意味なのでしょう?確かにリリースのタイミングだったり、プロモーションも大事な要素であることは間違いありません。
しかし。今年に入ってユーザー数を急上昇中のスタートアップ企業、Evernote社CEOのPhil Libin氏はその励ましを完全否定しています。本日はそんな同氏の起業哲学を探ってみたいと思います。
ライフハック促進サービスとして日本でも人気上昇中のEvernoteは、ユーザーの『外部脳的』な役割を果たすコンテンツ管理サービス。2008年に同社を創業したPhil氏は、先月開催されたFounder Showcaseイベント*で自らの体験を基にこう語っています。
多くの人間は起業家の成功条件として、自身が有する限られたリソースを商品だけではなくマーケティング等にも回せ!という。しかし私はその説が全く間違っていると考えている。Evernoteは素晴らしい商品を創るためだけにほぼ全ての資金を投入したサービスだ。何故なら、多くの人が愛する素晴らしい商品を作れば、他の全てのプライズはそれに付随するからね
Evernote社の方程式は非常にシンプルかつ明快。
1.驚く程素晴らしい商品を創ること
2.それを課金すること
それだけなのです。ご存知Evernote社はウェブサービスで代表的な『フリーミアム*2』を実現しています。過半数のユーザーには無料でサービスを提供し、人数は少ないがサービスを不可欠と捉えるユーザー層から有料オプションで課金をする。
このビジネスモデルで成長を続けるPhil氏によると、Evernote社は:
・創業から2年未満で、300万人のユーザー数を獲得。そしてこの瞬間も1日1万人ペースで増加中。
・Evernote社は有料プレミアムオプションから、3000万~4000万円/月 の収益を上げる。
・全体ユーザーの2%がプレミアムオプションに参加
・ユーザーがEvernoteを使えば使うほど、彼らがプレミアムアカウントを必要とする仕組みが用意されている。Phil氏によれば、『長期間使うほど、味が出るサービス』なのです。
ユーザーが一度使ってしまうともはや手放せないようなサービス、それがEvernoteなのでしょう。絶対成功するスタートアップの方程式は存在しません。しかし、1つ確かなことは、Phil氏が言うように、『商品の面白さを妥協したサービスは市場から淘汰される』、ということだと私も共感しています。
*1 Founder Showcaseイベントは4半期で開催される、全米からスタートアップ創業者が集う。
*2 Wired誌編集長のChris Anderson氏が出版した名著『フリー <無料>からお金を生み出す新戦略』参考。
参考記事:
Best Products Don't Always Win
0 件のコメント:
コメントを投稿