まだまだ面白海外ソーシャルメディア情報をお送りしていきます。
さて本日からPepsi Refresh Projectの投票期間がオープン。自分は今月は様子見、アイデア&仕掛けを発展する意図で出展を控えました。
とりあえず早速サイトは盛り上がっています。
本日お送りする記事名は:What Lessons Will Pepsi Learn About Crowdsourcing for Social Good from Chase Bank Contest Fail?
投稿主は、ソーシャルセクター×ソーシャルメディアで最新情報を発信するBeth Canter氏です。個人的に情報を惜しまず共有する彼女の姿勢を尊敬しています。
では、かなり骨の折れる記事でしたが(笑)、学べることがたくさんつまっているのでワクワクと共にお届けします。
どうぞお楽しみ下さい。
**和訳 開始**
ペプシが『大胆』な行動に出た。2010年、恒例のスーパーボウルにて、ペプシは自身の商品をCM広告するための資金を一切出さない。その代わりに、ペプシは『Pepsi Refresh Project』という20億円という巨額資金を草の根に提供するコーズマーケティング/クラウドソーシングコンテストを通して、『強烈な寛容さ』を示す方向なのである。
従来のCSR活動にて典型化していた非営利団体への直接的な寄付をあえて辞め、ペプシはオンラインコンテストの流れを思いっきり活用するつもりだ。システムとしては、世界を変革する壮大なアイデアをもつ応募者をペプシがサイトに招待し、その中から優れたアイデアをペプシファンに投票してもらう形になっている。そして彼らは2010年1月13日から、コンテストを10カ月継続的に実施する予定だ。
GigaOmの投稿記事を基にすると、『Pepsi Refresh Project』は世界に変化を生むであろう個人・団体がもつ可能性に溢れたアイデアを実プロジェクト化するために、50万円、250万円、500万円、2500万円のレベル別に提供する。
また、資金提供のカテゴリーとしては:
・医療
・芸術&文化
・食糧&住居
・地球
・コミュニティー
・教育
が挙がっている。
現在、E-メールをペプシに提示することで、コンテストの詳細について瞬時に分かるようになっている。私個人としては、彼らがついに私達のプライバシーを尊敬する指摘をしていたことで安心した:
お知らせ:ペプシはあなたが提供するE-メールアドレスに一度だけ『Pepsi Refresh Project』についての連絡をします。アドレスはペプシ・コーラ企業のマーケティング目的として決して使用されることはありません。
チェイスバンクが行ったオンラインコンテスト、そして他数々の社会変化のためのクラウドソーシングコンテストの失敗から彼らが十二分に学んでくれたことを願おう。そしてペプシがこのコンテストを開催するに当たって、不必要なプロジェクトに仕方なく資金提供をすることや、選考過程で非営利団体にとって最も大事なリソースである時間を浪費させないことを願っている。
ペプシが今回のムーブメントを起こす前までは、Facebook上で実施された『Chase Community Giving』コンテストが50万個の非営利団体に機会を与えた『オンライン上で最も大きなイベント』であった。現時点では、102万7398人がチェイスのファンページに属し、彼らが気にいった団体に投票をしている。そしてその中で『適格』と判断された投票されたトップ100団体は、先日250万円の資金を勝ち取った。また世界を変革するためのアイデアを残り100団体が共有する『The Big Idea』というネクストラウンドに進む権利も獲得したのである。最後に残った1団体は1億円を手にし、ファイナリスト5団体は1000万円を獲得する仕組みだった。
トップ100団体は多様な非営利団体で構成されていて、彼らのオペレーション予算は年10億円以下と指定され、チェイスのCSR活動分野である:教育、医療、住居、環境、食糧問題、芸術&文化、ヒューマンサービス、そして動物福祉に収まっている。(奇妙、皮肉にも2006年の年次予算が10億円を軽く上回る American Cancer Societyがリストにランクインしていた。)
またトップ100にランクインした複数のグループ(チェイスが投票終了する前段階時)はファイナルリストに残り、『落選』したと捉えられていたのだが、ニューヨークタイムズのStephanie Strom氏はその状況を見て下記のようにレポートした:
JPモルガン・チェイスは非営利団体に何億円と資金提供をする自身のオンラインコンテストにて騒ぎを起こしてしまった。
少なくとも3つの団体:Students for Sensible Drug Policy, the Marijuana Policy Project and an anti-abortion group, Justice for Allが、チェイスは彼らのミッションと応募者の名義が相容れないという懸念から、彼らを落選させたと強調。
そして上記グループは、チェイスがコンテストに変化を生まない限り、以前としてトップ100にランクインしていることを譲らない、と述べたのである。
これらの学びを基に改めて考えたいのは、ペプシがいかにローカルコミュニティーに変化を生むコンテストを運営しながら、自身の商品の売り上げを伸ばし、自社ブランドイメージに汚点を付けないで運営を行えるか?という点だ。
では、早速考えてみたい。
1. 参加者に対するオープン・クローズド性の明確化
コンテスト主催者は、それを開催する前に誰が参加可能なのか?を明確に提示しないといけない。基礎的な適格条件を挙げるだけでなく、非営利対象なのか、個人対象なのか、営利対象なのか、対象分野は厳格に規定されているのか、言語設定はあるのか?等々も検討することは必須である。
多くのコンテストでは、その公開投票前にスポンサーがある一定の応募者の中で前評判を『仕組む』ことがある。このやり方はターゲットが最近運営したコンテスト、ペイパルが展開した『FruitCake Challenge』で見られている。そうすることで、コンテストのスポンサー資金が運営企業と共通な企業価値、ゴール、慈善戦略を取っている団体に寄付されるようにするのである。もちろんここにはコスト(代償)が発生する。コンテストにとって『適格』でないと理由から、応募者の中で最高なアイデアをもった団体が落選してしまうのだ。
しかし、誰でも制約なくアイデアを投稿出来、その中で最も優れたものをユーザーだけで選択する完全なオープンコンテスト形式も考えものだ。スポンサーはここで問わないといけない。自分達はこのコンテストを通して誰が投票したか不確かでも、最も評価を得るアイデアに対して『コストを払えるのか?』
最近実施されたチェイスの『Online Giving Contest』では、最終段階で『落選』が起きてしまった。実際チェイスはコンテストの公式ルールをこう発表していた。
『スポンサーのCSRガイドラインに不適格だと判断されない団体はどんなタイミングでも落選される可能性があり、適格性の判断はスポンサーに任せられる』
Nathaniel Whittemore氏によれば、このルールはチェイスが『間抜け』というレッテルを張られる理由になった。チェイスの姿勢はTwitter上で『Chasesucks』ハッシュタグが誕生する創造性をユーザーに与え、コンテストが全体的にネガティブな反応を受ける結果に招いてしまった。
2. オープンな投票結果発表
チェイスの『Online Giving Contest』が犯した大きな過ち、それは参加者とコンテストとの関わりを分かりやすく示した『スコア表』を欠いていたことだ。透明かつシンプルな投票システムは参加者にとってプラス。
また非営利団体にとっても、チェイスのオンラインコンテストは多くの負担を与えた。自身の投票結果を確認するためだけに不必要なプロセスに時間を投資しなくてはいけなかったのである。
そして何より、投票結果の頻繁な更新はスポンサーの誠実性を示すメッセージになる。
3. 『2つのクラウドの力』を活用すること
ペプシは解決困難な社会問題を複数リストアップした。また、そのための手段としてソーシャルメディアを用いたクラウドソースによってアイデアを引き出すことを選び、スーパーボウルに本来費やされるはずだった予算をより挑戦的な場面に映したことは評価に値すると私は考える。とはいえ、その対象となる問題についての専門家や、その地域でインパクトをうけるコミュニティーメンバーの力を借りることは尚必要だ。
数多くのコンテスト、例えば Knight News ChallengeやCase Foundation主催のMake It Your Ownは専門的なスキルを導入するために『二段階形式』を採用している。大衆(ユーザー)が応募者のトップ層を選別し、専門家のパネリストが最終的な優勝者を選ぶのである。
ブルックリンアート美術館のClick Exhibitionも『2つのクラウド』力を活用した。一般的なクラウドと専門家のクラウドである。(Allison氏と私が近日中に出版する『The Networked Nonprofit』のクラウドソーシング欄で当プロジェクトを紹介している)
ペプシに関しては、その分野における専門家とパートナーを組んでいるようなので、『方向性のない』コンテストとして終わることはないはずである。
4. ソーシャルグッド(≒社会貢献)とマーケティングのバランスを図ること
ここで問いが浮上する。ペプシは社会問題を本気で解決する心意義があるのだろうか?それともスーパーボウルの広告予算をソーシャルメディアに映し、『善意』をプロモートすることでより多くの炭酸飲料を売ることが目的なのだろうか?私達は企業の『欲』が『寛容さ』に移行する姿を確認し、ファイナンス上のパフォーマンスとコミュニティーと社会の声への理解が潜在的なシナジーを生むことも認識しているはずだ。
それ故に、私はどうしてもこのコンテストを通して『Theory of Change (成功の法則)』をこの目で見てみたい。もしかしたら既に存在するのかもしれない。上記の図はマッキンゼーが発表したレポートを基に提示されたTheory of Changeである。もしペプシがその法則を知っているのであったら、是非とも透明性をもって共有して欲しい、そう思う。
このコンテストは本当にインパクトをもたらすの?
このコンテストは本当に非営利団体に力を与えるのか?それとも活動をただ邪魔するだけなのか?
それともこのコンテストはだたのマーケティング活動に過ぎないのか?
今後一層重要になる問いかけにペプシはどうしても向き合わなくてはいけない。
**和訳 終了**
この記事は個人的に非常に勉強になりました。
自分もクラウドソース型コンテスト運営の可能性について、その将来的な展望について思考を巡らしていたので、まさにぴったりでした。
特に最後の、ソーシャルグッドとマーケティングのシナジー効果の引き出しについては本当に共感です。
ソーシャルメディアの台頭によって2010年は、本当にフォーカスされてくる点だと想います。
また、Beth Canter氏のひたむきな情報発信の姿勢、ソーシャルセクターへの想いには心が揺れます。
サンフランシスコ在住の@hisamioh氏も自身のブログにて、1億の米国人が65回も視聴する今年のスーパーボウルTVCMは論議を呼んでいますという非常にエキサイティングな記事を投稿していますが、ペプシがとった選択は(そのパブリシティー的に)やはり面白い。
自分もアイデアを投稿する身なので、2月いっぱいその進行から目が離せません。
『ソーシャルメディア×ソーシャルグッド×ビジネス』。
その真髄が問われます。
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